急性緑内障発作
隅角が狭くなり、房水の出口が塞がり、眼内で水がどんどん溜まっていく状態をいいます。正常の眼圧は10~20mmHgですが、これが30~50mmHgへと急激に上昇します。症状は、突然に起こる強い眼痛、頭痛、吐き気、かすみ目です。脳出血と症状が似ているため、脳外科に救急搬送され、治療が遅れることもあります。
*正常(左図)では、隅角が広く、房水の流れがスムーズです。狭い隅角(右図)になると、房水の出口も狭くなるため、眼内に貯留して、高眼圧を引き起こします。
緑内障の発作が起きると、急速に視神経が障害され、視野が欠けていきます。視野が欠けると元には戻りません。中心視野が障害されると視力も高度に低下してしまいます。眼圧が50mmHgに上昇したままだと、約1週間で失明に至るほどです。治療は、速やかに発作を解除して、眼圧を下げることです。眼圧を下げる点滴と点眼、レーザー治療または手術となります。
白内障は発作の原因の1つ
白内障になると一般に水晶体は分厚くなります。水晶体が後ろから虹彩を押し上げるため、隅角は狭くなり、緑内障発作を起こしやすくなります。白内障による狭隅角と診断された場合は、早期に白内障手術が必要となります。
緑内障発作を誘発する薬
市販薬の風邪薬、抗ヒスタミン薬、睡眠薬、手術前に注射するアトロピンなどは、緑内障発作を誘発します。いずれも抗コリン作用という隅角を狭くさせる働きによるものです。狭隅角と診断された方は、これらの薬を服用できなくなりますので、全身麻酔や内視鏡検査を安全に行うことができなくなります。狭隅角で緑内障発作を起こす危険が高い方は、発作を予防するためのレーザー手術を行うことができます。手術後は、発作を起こさなくなりますので、安心してお薬を使用いただけます。
治療
①レーザー虹彩切開術
レーザーを使って虹彩周辺部に通り道を開けます。これが房水の近道となり、隅角を開く作用があります。当院では、発作を予防するレーザー手術を多数行っております。両眼10分程度で、痛みもありません。眼帯や入浴の制限もなく、そのまま徒歩で帰宅できます。
②白内障手術
白内障のために膨隆した水晶体は、狭隅角化の大きな原因です。白内障手術で挿入する眼内レンズは元々の水晶体に比べればはるかに薄く、術後隅角は大きく開きます。手術は片眼で10分程度です。
どちらの処置を選ぶか
50歳くらいまでの方で白内障がほとんどなければ、レーザー虹彩切開術を選択します。白内障が進行してきている場合には、白内障手術も適応です。発作の程度、年齢、白内障の程度に応じて、最適な治療を行っています。