近視の進行を抑える治療


近視は、主に眼球が楕円形に伸びる(眼軸の長さが伸びる)ことで、ピントの位置ずれが生じてきます。
スマホや読書などで、近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びると戻ることはなく、年々進行していきます。
近視の進行を抑制するためには、この眼軸長の伸びを抑える必要があります。
近年、アトロピン点眼やコンタクトレンズによる治療をすることで、近視の進行を抑制することができるようになっています。
近視の進行を抑制する治療には3つの方法があります
治療の目標は、18才で近視度数-6.00D以下に
近視は、成長にあわせて毎年進行するため、7才で軽度の近視(-1.00D)であっても、18才では中~強度(平均-6.23D)にまでなってしまいます。さまざまな近視治療を行うことで、緩やかな進行状態にすることができます。(平均-3.09D)

- 近視が進むと緑内障や白内障、網膜剥離、近視性黄斑症など、生涯に様々な疾患が発生する頻度が高くなります。そのため、18才での近視の度数を-6.00D以下に抑えることが重要です。
- 近視の発症年齢が早いほど、最終的に近視の度数は強くなります。当院では、できるだけ早期に治療を行い、18才での近視度数を-6.00D以下に抑えることを目標に治療を行っています。
リジュセアミニ点眼液0.025%治療

リジュセア点眼の特徴
- 0.025%の低濃度アトロピンが主成分です。
- 毎日一滴、寝る前に点眼してください。
- 近視の進行を1年間に35~60%軽減させます。
- 容器は両眼用で、防腐剤フリー、1回毎の使い切りタイプです。
- 目薬ができる年齢であれば、治療を始めることができます。
リジュセア処方の流れ
- ① まずは視力や目の状態などを検査・診察します。(予約は不要です)
- ② 診療後、異常がなければ、リジュセア点眼液を1か月分処方いたします。
- ③ 1ヵ月間、毎日使用してください。
- ④ 1か月検診にて、副作用等の問題がなければ、3ヵ月分の処方が可能となります。
- ⑤ 以後は、3か月毎に、定期受診をしてください。
リジュセア治療の費用
リジュセア点眼液は、1か月(30本入り)で4,400円(税込)です。
定期受診の際には、3ヶ月分まで購入が可能です。
自費診療のため、初回の検査料は1,000円で、定期検診も1回 1,000円です。
副作用
主な副作用として、5%の方に羞明(まぶしさ)が認められています。また、霧視(かすみ目)や調節障害(近くが見えにくい)などの症状が報告されています。これらは主成分であるアトロピンの調節麻痺作用や散瞳作用に起因する一時的な反応です。通常、慣れていくことや点眼時間を早めに調整することによって症状が軽減できることもあります。
なお眩しさやピントの合わない症状が持続する場合には、最初の1か月で治療を中止することがあります。気になる症状がある場合は、医師にご相談ください。
有効性エビデンス
日本国内の34施設で、5〜15歳の299名を対象に行われた「ORANGE STUDY」では、毎晩リジュセア®ミニ点眼液を2年間続けたグループと、偽薬を使ったグループを比較しました。その結果、以下のような有意な近視進行抑制と眼軸長の伸張抑制効果が確認されました。
- 等価球面度数は、2年間でプラセボ群に比べて約0.64Dの近視の進行が抑制された
- 眼軸長は、2年間でプラセボ群に比べて約0.23mm分の伸びが抑制された
●投与24ヵ月後における屈折値の変化量

●投与24ヵ月後における眼軸長の変化量

さらに3年目も点眼を続けると、この抑制効果がそのまま維持された一方、途中で点眼をやめると、再び近視が進む傾向が見られました。
効果を保つためには、毎晩の点眼を長期的に継続することが大切であることもわかっています。
多焦点ソフトコンタクトレンズによる治療

多焦点ソフトコンタクトレンズの特徴
- ① 多焦点ソフトコンタクトレンズを毎日装用します。(レンズは1日使い捨てタイプです)
- ② 調節力を補助することで、近視の進行を抑制します。
- ③ 近視も矯正できるため、眼鏡なしで生活できます。
多焦点ソフトコンタクトレンズの適応
7才から、大人の方まで装用できます。
※小・中学生の場合、保護者の方のコンタクトレンズの使用経験が必要です。
多焦点ソフトコンタクトレンズ処方の流れ
- ① トライアル装用を行い、レンズの着け外しを練習します。
- ② レンズの種類、度数を決定し発注します。
- ③ レンズが届いたら、治療開始となります。
多焦点ソフトコンタクトレンズの検診
装用開始2週間後と4週間後。問題なければ、3〜4ヶ月毎の検診となります。
多焦点ソフトコンタクトレンズの費用
・レンズ代1ヶ月 片眼3,740円(税込)
・定期検診(保険適応)+レンズ代(両眼3〜4ヶ月分)
オルソケラトロジーによる治療

オルソケラトロジーの特徴
- ① レンズを着けて就寝し、朝にレンズを外します。(毎日レンズの洗浄ケアが必要です)
- ② 寝ている間に、近視が矯正されるため、日中は裸眼で生活ができます。
- ③ 最も強い近視抑制効果が確認されています。
オルソケラトロジーの適応
7才から、大人の方まで装用できます。
オルソケラトロジー処方の流れ
- ① 適応検査で異常がなければ、トライアル装用をします。
- ② レンズ度数、規格を決定し、レンズの着け外しを練習します。
- ③ テストレンズで、自宅にて1週間のお試し装用が可能です。
- ④ 問題がなければ、レンズを注文し、本装用開始となります。
オルソケラトロジーの検診
装用開始1週間後、1ヶ月後、3〜6ヵ月毎の検診となります。
オルソケラトロジーの費用
・適応検査 5,000円(予約制)
・レンズ費用、本装用までの詳しい内容につきましては、こちらのページをご確認ください