糖尿病網膜症とは?
糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因で眼底に出血や浮腫が起こることをいいます。
かなり進行するまで自覚症状がない場合もあり、放置しておくと失明するケースもあります。日本では、緑内障の次に多い失明の原因となっています。糖尿病の方は、定期的な眼底検査による早期発見治療が重要です。
初期は、小さな出血が眼底に起こりますが、次第に数が増えていきます。微小な血管が閉塞すると網膜への血流が途絶えたり、異常な血管が発生し、時に大出血を起こします。出血を繰り返すと線維性の増殖膜が発生し、網膜剥離も引き起こします。
糖尿病網膜症の治療
網膜症の進行程度に応じて治療を行っていきます。
適切な時期に、治療を行うことで網膜症の進行を抑えることができます。
眼底に出血が現れたり、網膜血流が途絶えている状態となれば、まずはレーザー治療を行います。網膜の病変部分にレーザー光線を照射し、熱の力で凝固させて病気の進行を阻止する治療法です。1回15分程度で可能です。
黄斑浮腫(おうはんふしゅ)の治療
黄斑浮腫も、糖尿病網膜症の合併症の1つです。目の中の硝子体中に血管内皮増殖因子(VEGF)という物質が多量に発生すると、黄斑にむくみ(浮腫)が起こります。黄斑浮腫が起こると、高度に視力が低下し、ゆがみなどの症状がでてきます。現在、最も効果的な治療は、この血管内皮増殖因子を抑制する薬剤を硝子体に注射することです。
黄斑浮腫と診断されたら、月1回注射を3か月間行い、その後は改善の程度に応じて行っていきます。注射ですが極めて細い針を使用しておりますので、痛みはありません。当院でもこの治療を行っています。
その他、ステロイド薬を眼球の奥に注入する「ステロイドテノン嚢下注入」や、浮腫の原因となっている血管をレーザーにて凝固を行うこともあります。
まずは、血糖のコントロールを行い、定期的に眼科検査をうけましょう。